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2011.01.10    カテゴリ:  鉄道 

   リニア新幹線 南アルプスにトンネルを掘れるのか?

JR東海はリニア中央新幹線用に南アルプスにトンネルを掘る事を決めたが、
果たして本当に掘れるのか、私なりにチェックしてみた。

まだ、トンネル位置の公式発表はないが、調査のための水平ボーリング位置など
から、下図のように推定した。

(図の X印がボーリング位置、赤線部がトンネル、青線部が地上)

 トンネルの長さは約50km、簡単に言うと富士川・身延付近から、
天竜川・飯田市付近まで全部トンネルという感じ。 

 途中、ボーリングを掘った付近で 地上に顔を出すかと思ったが、
身延の標高が260m、飯田の標高が400mぐらいで、リニアの最大許容勾配が、
40‰(単位:パーミル・・・水平距離1000mにつき40m登る意)
だから、どちらの地点も地上に顔を出すか、出さないかギリギリの所にある。

 ただ、最大許容勾配を何十キロも続ける事は、通常の設計では考えられず、
多少の余裕を見るのが ふつうなので、勾配は30~35‰と思われる。

 すると、地上には全く顔を出さない。

 ただし、この場合は、南アルプス直下でも、標高1300mあたりが最高地点
になる。 南アルプス尾根は、どんなにルートを選んでも2600m以下の場所が
なく、トンネル上部には最高で1300~1600mの山塊がのし掛かる。
(これを土木用語で「土かぶり」という)

 現在、日本で掘られたトンネルの内、土かぶりがもっと深かったのは、
大清水トンネルや恵那山トンネルの約1100m。

 南アルプストンネルは今まで経験したことが無い深さになる。 また、長さも
青函トンネルの54kmに近く、山岳トンネルでは、現在最長の八甲田トンネルの
26kmを大きく上回る。

 さて、このトンネル工事で懸念されている事は以下の6点

 1.自然環境への影響
 2.大断層帯での地震
 3.落石や崩落
 4・経験したことのない地圧(土かぶり)
 5.災害時の避難
 6.ずり(残土)処理

 なお、大前提として、南アルプスには 火山はない。
当然の事だが、火山の真ん中にトンネルは掘れない。(^^)

 さて、上記については、地上に顔を出さなければ、考えられる影響は
地下水ぐらい。 確かに地下水脈の状態が変わると、地上にも影響する
可能性はあるが、南アルプスの場合、上越方面などと比べれば、雪の量は
ずっと少なく、大清水トンネルほどの湧き水は出ないのでは ないかと
予想される。 

 ただ、これは掘って見ないとなかなか判らない。

 恐らく、地質調査の為、先進導杭か先進水平ボーリングをすると思われるので、
その時点で、問題点の把握と対策を考案するでしょう。 

 まあ、湧水対策については、丹那トンネル以来、大変な量のノウハウが
蓄積されており、最近の長大トンネルで大きな問題になった事はない。

 まあ、ここは信用して良いでしょう。

 の断層での地震だが、このトンネルが横切る断層部分(中央構造線等)には
「活断層」が全く見つかっていない。

(天竜川の西側の飯田線沿い及び南アルプスの北側の中央本線沿い には
 活断層が有るが、南アルプス中央の山塊部分は、褶曲による盛り上がり部分に
 当たるせいか、活断層が無い。)

 よって、活断層を横切った丹那トンネルのように、地震によって
2.7mもずれるようなことは無いと考えて良いでしょう。

 の落石については、実はこれが一番心配されていることだが、地上に顔を
出しそうもないことから、心配は無用だろう。

 はチャレンジ部分。 大清水トンネルで大規模な「岩はね」があり、かなり危険な
思いをしたようだが、スイスで昨年10月に延長57km、土かぶり2300mの
ゴッタルドベーストンネルが 貫通したしたので、土かぶりが たかだか
1300~1600mのトンネルで音を上げるわけには ゆかないでしょう。

 は不明。 トンネルの構造がどうなるか、計画がハッキリした時点で再確認。
一番よいのは、避難路を兼ねた先進導杭を掘ること。 
 上下2階建てにして、下部を避難路にする方法もある。

 は地上に頭を出さねば、山中に捨てられる可能性はない。 
いずれにせよ、JR東海に「ずり」を山中に捨てるなとに言えば済むはなし。

 <結論>
 このトンネルは勾配の設計上、途中で地上に顔を出す可能性は低い。
 また、活断層も軟弱地層もないので、案外あっさりと掘れる可能性が高い。

 スイスに大幅に抜かれた地位を挽回し、「トンネル日本」
印象づける為にも ここは譲れない(絶対に成功させる)所でしょう。(^^)




<参考>

 なお、地質についての課題は下記の河本和朗氏の論説が詳しい。

「リニア新幹線の南アルプスルートは安全か」 ケンプラッツ 2009/07/14
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/column/20090701/533704/?P=1

 ただし、文中に南アルプスの隆起が年間3~4mm有るかのように書かれて
いるが、国土地理院が発表した最近10年間(2000-2010年)のデータを
見ると大鹿村での隆起は10年間で3mmに止まる。

 例えば丹那トンネルのある箱根は22mm隆起しており、それに比べ遙かに小さい。
河本氏は古いデータに基づいての発言のようだ。 最近のデータの方が精度が
高いのは言うまでも無い。


南アルプストンネル
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問題だらけ…だと思いますよ

 たとえば、掘削した岩ずり
断面積74平方メートル、長さ20kmのトンネルをほれば、発生する岩ずりは1480000立方メートル。10年間毎日排出し続ければ、毎日400立方メートル以上発生。早川、小渋川の両方のせま~いV字谷に毎日200立方メートルの岩クズが運び出される…。砂岩なら比重は2.2程度なので、約440トン。大型ダンプ44台分。どんなに少なく見積もっても、これだけは確実に発生。これが狭~い山村の中を10年間走り続けることになるんですよ。どこが問題ないんですか?東京の地下鉄工事じゃないんだから!
 仮に、大井川上流に斜坑を設けれて排出すれば、もう少し負担は減りますが、今度は大井川源流部での自然破壊が顕在化することは確実。

プロジ○クトXのノリで考えないでください。

他にも問題だらけですが、とりあえずここまで。
> 問題だらけ…だと思いますよ
>
>  たとえば、掘削した岩ずり
> 断面積74平方メートル、長さ20kmのトンネルをほれば、発生する岩ずりは1480000立方メートル。10年間毎日排出し続ければ、毎日400立方メートル以上発生。早川、小渋川の両方のせま~いV字谷に毎日200立方メートルの岩クズが運び出される…。砂岩なら比重は2.2程度なので、約440トン。大型ダンプ44台分。どんなに少なく見積もっても、これだけは確実に発生。これが狭~い山村の中を10年間走り続けることになるんですよ。どこが問題ないんですか?東京の地下鉄工事じゃないんだから!
>  仮に、大井川上流に斜坑を設けれて排出すれば、もう少し負担は減りますが、今度は大井川源流部での自然破壊が顕在化することは確実。
>
> プロジ○クトXのノリで考えないでください。
>
> 他にも問題だらけですが、とりあえずここまで。

当方の想定は大鹿村は地下通過です。 下の地図を御覧下さい。 
よって、小渋川沿いのV字谷では地上に顔を出さないと思います。

理由は本文に書きましたが、勾配の問題です。 ただし、あくまで
予想ですから、JR東海からの正式な案がでるまで、ああだ、こうだ
と騒いでもしかたないと思います。

 ただ、技術的には問題なさそうだということを一番言いたかった
のです。

 ずりの処理に関して具体的な知見を得るなら、実際の20km長の
新幹線のトンネル (例えば大清水トンネルとか八甲田トンネル)で
どうだったかを調べられたら宜しいのではないでしょうか?

 小渋川の谷はトンネルで通過するとしても、斜坑を設けて岩ズリを排出するはずです。そうでなければ、20km以上のトンネルを10年間で掘削できるはずがありません。現に、中央新幹線小委員会でも、斜坑を設けることを前提としてた話になっております(資料では、トンネルの規模は断面積74㎡、長さ約20km、掘削期間は10年ほどとされています)。
 大清水トンネルや八甲田トンネルは浅い谷をいくつかくぐっており、そこに斜坑を設けて土砂を排出できたそうです。トンネルに沿って比較的幅の広い道路が既設であったこと、谷の幅は赤石山地よりもずっと広く、作業用地を確保できたことも好条件です(国土地理院のHPで地形図をご参照ください)。ちなみに、南アルプスの巨大建造物である井川ダムの建設に際しては大井川鉄道井川線を敷設して、長島ダム建設に際しては高規格道路が設けられています。そこまで費用と時間をかけてまでトンネルをつくる必要性というのは、あるのかないのかわかりません。

 技術的にはトンネルの掘削は可能でしょうが、工事現場付近は何年間も鉱山都市のように騒音と排気ガスにまみれた状況におかれること、一帯は本州で最も原生的な自然環境を保っており、国立公園および拡張候補地に含まれていることも考えると、「トンネルを作っちゃってもいいの?」という疑問はぬぐえません。 
>  小渋川の谷はトンネルで通過するとしても、斜坑を設けて岩ズリを排出するはずです。そうでなければ、20km以上のトンネルを10年間で掘削できるはずがありません。現に、中央新幹線小委員会でも、斜坑を設けることを前提としてた話になっております(資料では、トンネルの規模は断面積74㎡、長さ約20km、掘削期間は10年ほどとされています)。
>  大清水トンネルや八甲田トンネルは浅い谷をいくつかくぐっており、そこに斜坑を設けて土砂を排出できたそうです。トンネルに沿って比較的幅の広い道路が既設であったこと、谷の幅は赤石山地よりもずっと広く、作業用地を確保できたことも好条件です(国土地理院のHPで地形図をご参照ください)。ちなみに、南アルプスの巨大建造物である井川ダムの建設に際しては大井川鉄道井川線を敷設して、長島ダム建設に際しては高規格道路が設けられています。そこまで費用と時間をかけてまでトンネルをつくる必要性というのは、あるのかないのかわかりません。
>
>  技術的にはトンネルの掘削は可能でしょうが、工事現場付近は何年間も鉱山都市のように騒音と排気ガスにまみれた状況におかれること、一帯は本州で最も原生的な自然環境を保っており、国立公園および拡張候補地に含まれていることも考えると、「トンネルを作っちゃってもいいの?」という疑問はぬぐえません。

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 斜坑を掘るのはトンネルをいくつかの工区に分割し、同時進行で掘るためですが、
斜坑が無ければ、トンネルが掘れない訳ではありません。 八甲田トンネルでは
6工区に分割し中間部の工区でそれぞれ斜坑を掘っていますね。 大清水トンネルも
6工区です。

この様に分割して工事をするのは早く作る為・・・と言っていますが、これは建前でしょう。
当方が見るところ、大手のゼネコンに満遍なく仕事を与える為と思います。 鉄建公団一家
で仕事を囲っているのです。

八甲田トンネルも大清水トンネルも中間部は山奥の不便な所です。 ですから、工事を
進めるための道路を造る所から始まり、場所によっては工事後に現状回復が義務づけられて
いる場所もあった様です。 

また、斜坑と言ってもかなり、立派なもので、工事用の道路を造るのも、斜坑を掘るのも
かなり時間がかかり、第一、お金がかかります。 それに地権者との話し合いも大変です。

そこまでやっても一工区あたり、長くて4~5km程度ですから、どれだけ工期の短縮に
繋がるか疑問です。

面白い例が青函トンネルです。 ここは9工区に分割して工事をしていますが、さすがに
海底には斜坑を掘る訳にいかず、海底部分は当然ながら、2工区のみです。最長は吉岡工区
の14.7km。 請け負ったゼネコンは大成建設です。

で、残りの7工区は当然ですが、かなり短くなり、1kmにも満たない工区も有ったようです。
つまり、無理矢理分割しているのです。 工事の必要性と言うより、大手ゼネコンとその系列
業者を養う為と言った方が良いでしょう。「横並びニッポン」の一例ですね。 恐らく、地元
政治家も工事獲得に動いた事と思います。

リニアはその点、政治家の介在する余地が減ってはいても、鉄建一家の力はまだまだ健在なので
要注意でしょう。 もし、業者を食わせる為に無理な分割工事をするなら、JR東海の株主が
経営責任を追及することは可能です。 

現在進行中の山梨実験線延長工事で御坂トンネルの約8kmの掘削工事をやっていますが、ここも
3工区に分け、2~3kmに分割して工事をしているようで、相変わらずの感はします。

なお、ずりの運搬について鹿島は八甲田トンネル工事で1730mのカーブコンベアを
トラック輸送の代わりに設置したようです。

ゼネコンの立場でみれば、工事が欲しいから、どんなに費用がかかっても、何でもやると
思います。 地元住民からトラックはダメと言われたら、何か対策を考えるのが普通です。
この種の工事は予算など有って、無きが如しですから。

とにかく、地元住民から見ての不安点は早めにJR東海に出す事が重要と思います。
JR東海も地元との協力が無ければ工事が出来ないので、意見は十分に聞くと思います。
 
 岩ズリの問題もさることながら…

 もっと、根本的なことをふたつ。

カネと技術をつぎ込めば、南アルプスにトンネルを掘ることは可能でしょう。

 私の言いたいことは、技術的・経済的に可能ならば何をやってもいいのか?ということです。

 昭和9年に北アルプス一帯が中部山岳国立公園に指定されました。それにも関わらず、戦後は黒4ダム建設をはじめとして黒部川流域での電源開発が大々的に行われるようになりました。
 当時は電力需要が逼迫していたのでやむをえなかったのでしょう。また、今のように環境や景観に関する関心は高くなかったでしょう。一応、国立公園内ということなので、発電所を地下化するなどして景観に配慮されています。その結果、現在では立山黒部アルペンルートや黒部峡谷は一大観光地となっています。観光客の目には雄大な景色は変わっていないように映ります。

 が、実際には道路沿いでのブナ枯れ、オーバーユースによる生態系の破壊、黒部川各ダムが土砂流動を妨げたことによる海岸侵食の激化、排砂実験による水質汚濁など、目に付きにくいところで問題が浮上しています。
 当時の工事関係者がこのような事態を想定していたかどうかは、私は知りません。ただ、予想もつかないところで様々な問題が生じてくることは、北アルプスの例に限らず、あちこちで発生していることはご存知だと思います。

 山岳地帯の長大トンネルが地下水流動や坑口付近の気温ならびに植生に与える影響など、何十年間も継続的な調査を続けなければ分かりません(一応、環境省が環境アセスメントの調査項目に掲げていますが)。

 わからないことだらけの実験的な要素を多く含んだ工事を、南アルプス山中でおこなってもいいとは、とても思えません。


 もう一点。長野・山梨県境の北沢峠以南の南アルプス主稜線は、50km以上にわたって、地下にも地上にも横断構造物が存在していません。おそらく本州最長の区間です。人口稠密な日本列島においては、奇跡的なことだとさえ思われます。

 その奇跡を、「7分の時間短縮と費用対効果(正しいかは不明)」を理由にしてぶっ壊してしまう権利をJR東海は持っているのでしょうか? 

 何百年か後に、「やっぱリニアはいらねーや」という社会になったとしても、山に空いた穴を復元することはできないんですよ?
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  • 2011.05.23 08:55  
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  • 2011.08.28 11:33  
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  • 2012.03.13 22:48  
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